給湯器の故障の前兆で気付きやすいのが「異音」です。運転音は経年劣化の影響が出やすく、ユーザーの違和感が故障の早期発見に繋がるケースが少なくありません。
このページでは給湯器の音がうるさい時、使っていない時に音がするという症状で考えられる原因をまとめてみました。エラー番号や対処法、注意事項もまとめてあるので、給湯器の異音に悩まされている方はぜひ参考にしてください。
給湯器の運転音がうるさい時、異音がする時に確認すべき項目
リモコンにエラーは表示されていないか
- 燃焼系エラー(例:E111、E121、E721など)
- 燃焼用ファンのエラー(例:E611、E613など)
- 循環ポンプのエラー(例:E642、E643など)
給湯器のエラーの中にはリモコン電源のON・OFFでリセットされるエラーがあります。もしエラーを出しながらも電源のON・OFFでお湯が使えているのだとすれば、給湯器に何かしらの不具合が出ているかもしれません。
上記は異音を発する部品のエラーです。末番が機種によって変わったりするため、番号が近いエラーが確認できている場合は取扱説明書を確認してください。
給湯器本体から水漏れはないか
給湯器本体から水漏れがある場合、各部品に負担が掛かって運転音が大きくなることがあります。
例えば熱交換器と呼ばれる「水がお湯に変わる部品」から水が漏れている場合、熱を持つ部品ということもあって外から見ると大した水漏れじゃないように見えても、実際はかなり漏れているというケースも少なくありません。
そして水漏れをしながら使用することで、不完全燃焼や漏電につながる恐れがあります。給湯器から水漏れが確認できる場合は、その量にかかわらず直ちにメーカーに連絡してください。
給湯器の排気筒や排気口に詰まりや変形はないか
排気筒や排気口に詰まりや変形があると、燃焼ガスが正常に外に出ていくことができません。その結果、不完全燃焼が起きたり送風機に負担が掛かって運転音が大きくなってしまうことがあります。
排気筒関連の不具合には虫が侵入して詰まってしまう等、外から見ても判別しにくい内容も少なくはありませんが、まずは外観を見て異常・違和感がないかどうかを確認してください。
ガス臭い、灯油臭い、においが気にならないか
ガス給湯器ならガスの臭い、石油給湯器なら灯油の臭いが気にならないかどうかの確認も有効です。給湯器は新品の状態であっても燃料の臭いは確認できるものですが、あまりにも気になるほど臭いが気になるようであれば不完全燃焼の可能性があります。
不完全燃焼の原因になっているのがバーナーや送風機の場合、故障の前兆で音が大きくなっている可能性があるので、過度に燃料臭くないかどうかを確認してください。
給湯器の音がうるさい原因と対策
給湯器の中で異音の原因になる部品
- バーナー:燃焼するための部品
- 熱交換器:水がお湯に変わる部品
- ファンモーター:燃焼ガスを排出し、燃焼に必要な酸素を取り込む送風機
- 循環ポンプ:ふろ水を循環させたり、暖房水を循環させるポンプ
異音の原因の多くは経年劣化
給湯器は新品の状態でも無音というわけではありません。しかし使用年数を重ねていくに連れて、その運転音は徐々に大きくなっていくことがほとんどです。
特にユーザーが違和感を感じるほど動作音が大きい場合、何かの部品が故障してしまう前兆の可能性が高いです。もしこの状態で使用し続けた場合、部品1点の修理で済んだかもしれないものが2点・3点の部品交換が必要になってしまうことがあります。
例えばファンモーターが異音を出していた時、この段階ではファンモーターの交換だけで直る可能性が高いです。しかし壊れかかっているファンモーターを使い続けることによって、燃焼のための酸素が確保できずに熱交換器やバーナーが煤詰まりをしてしまうというケースが少なくありません。
初期に修理できればファンモーターの交換だけで済むこともありますが、修理するタイミングが遅くなればなるほど他の部品も交換しなければならなくなったりするので注意してください。
音の種類別、考えられる内容を擬音語で解説
ボンッ、小さな爆発音
お湯を使おうとした時に本体から「ボンッ」と聞こえてくる小さな爆発音は、点火する時に鳴っている音と思われます。新品の状態でも多少の音はしますが、石油給湯器の据え置きタイプ以外であればそこまで大きな音はしません。
点火と同時にボイラーのフロントカバーが動く(中からバフッと膨らんでいるような)感じがあるなら、バーナーや熱交換器の一部または広範囲に詰まりが生じている可能性があります。
場合によっては部品交換が必要になりますが、初期状態なら掃除で対応も可能です。そのまま使用することで他の部品に二次被害が広がる可能性があるため、早急に点検してもらうことをおすすめします。
ピー音、汽笛のような異音
給湯器が燃焼中、リモコンに火のマークが表示されている状態で「ピー」という汽笛のような甲高い音が確認できる場合、熱交換器が詰まっている可能性があります。
熱交換器は送風機によって熱風を通しているのですが、熱風から少しでも熱を受け取るために複雑な迷路のようになっています。ここに詰まりがあると口笛のようになって高い音を出すことがあり、これが汽笛のようになることが少なくありません。
場合によっては部品交換が必要になりますが、初期状態なら掃除で対応も可能です。そのまま使用することで他の部品に二次被害が広がる可能性があるため、早急に点検してもらうことをおすすめします。
キュルキュル音、うなり音
循環ポンプの経年劣化でよく見られる症状です。「キュルキュル」という高い音が出るケースもあり、唸るような重低音を出すケースもあります。
ふろ機能付き給湯器なら追い炊きやふろ自動ボタンを押してお湯張り動作をしている時、暖房機能つき給湯器(または暖房専用機)なら動作している時は常に音を出します。
使用開始から年数が経過している場合は経年劣化の可能性が考えられますが、暖房ボイラーの場合は循環している暖房水の劣化によって動作音が大きくなっている可能性があります。
暖房水、不凍液の寿命は2年~3年のため、定期的な入れ替えが必要です。
ブーン音、うなり音
給湯器が動作している時は常に動いている、ファンモーターから発せられている可能性が高いです。「最初は静かなんだけど長時間動くとうるさくなってくる」など、音の大きさが段階を踏むことがあります。
使用から7年以上が経過しているファンモーターの経年劣化で最もよく見られる症状です。ファンモーターの故障の前兆であることも多いですが、熱交換器やバーナーの詰まりの影響でうるさいケースも少なくありません。
この場合はとにかく「排気筒、排気口に異常がないかどうか」を確認してください。寒冷地の冬の場合、排気口の前まで積雪があって排気閉塞を起こしていることもあるため、直ちに点検することをおすすめします。
ゴゴゴ音、爆発を連想させるような大きい音
非常に特殊な例ですが、爆発を連想させるような大きな音が出ることがあります(実際に爆発することはありません)。この場合は排気閉塞かファンモーター内に異物が混入している可能性が高いです。
疑わしいのは鳥、コウモリ、虫などです。これらがファンモーターに侵入すると正常に送風することができず、燃焼不具合を起こしてとても大きな音を出します。早期に発見できれば異物を取り除くだけで改善することがあるため、使用を控えてメーカーに点検してもらってください。
ポコポコ音、追い炊き時に循環アダプターから気泡が出る
大きな音というわけではありませんが、追い炊き動作時に循環口からポコポコと音を出しながら気泡が出てくることがあります。これは正常であることが多く、配管内の空気が出てきているだけの可能性が高いです。
ただしずっと気泡が出続けているという場合、ふろ回路のどこかから空気を吸っている可能性があります。熱交換器から水漏れしている場合、微量漏れだとすぐに蒸発してしまうために気付くのも難しいです。
浴槽の水が減っていたり、給湯器からの水漏れが確認できた場合は、間違いなくどこかに隙間や穴ができているので、直ちにメーカーに点検してもらってください。
給湯器を使っていないのに音がする原因と対策
ついさっきまで給湯器を使用していた場合
今使っていないとしても「ついさっきまでお湯をしていた」という場合は、給湯器がまだ動作している可能性があります。
給湯器はお湯を止めた後もバーナーや熱交換器内に残っているガスを外に排出するため、ファンモーターが1分~2分ほど回り続けるため、先ほどまでお湯を使っていたという場合は特に心配いりません。
お湯を使おうと思って一瞬だけ蛇口を開け、やっぱりやめた(お湯は使っていない)という場合でも給湯器は準備動作に入っているため、この場合もまたファンモーターが1分~2分ほど動作します。
凍結予防動作(寒い日限定)
- 各パイプに取り付けられている凍結予防ヒーターが熱を持つ
- 追い炊き配管の凍結を防ぐため、循環ポンプが動いて水流を作る
- バーナー、熱交換器内の冷たい空気を外に出すためにファンモーターが動く
給湯器には凍結予防機能が搭載されています。これはリモコン電源のON・OFFに限らず、給湯器が0℃近い外気温を検出することで動作します。
寒冷地に住んでいる方で、特に屋外設置の給湯器が使っていないのに音がするという場合はこの可能性が高いです。循環ポンプの動作音の大きさは、浴槽内の循環アダプターの位置まで水を入れることで軽減します。
暖房ポンプは固着防止で動作する
一部の暖房機能を持った給湯器、または暖房専用機は定期的に動作することがあります。もちろん勝手に燃焼するということはありませんが、固着防止でファンモーターや循環ポンプが動作することがあります。
これは夏でも動くことがあるため、使っていない暖房ボイラーから音がするという場合は取扱説明書にて仕様を確認してください。音が気になるからと言ってコンセントプラグを抜くと、故障の原因に繋がる可能性があるのでご注意ください。
異音や違和感に気付いたら直ちにメーカーへ
燃焼音や動作音の大小は給湯器の故障の前兆になっているケースが多いです。また、早期発見で最小限の修理で済むことが多いので、気になることがあったら直ちにメーカーに点検してもらうといいでしょう。
使用開始から7年以降の給湯器は経年劣化が進んでおり、高額修理になってしまう可能性があります。この場合は修理と本体交換の両方から検討することをおすすめします。